闇金問題で聞く不当利得返還請求とは

闇金問題で聞く不当利得返還請求とは/用語集

闇金や消費者金融に対して、過払い金の返還を求める事ができる不当利得返還請求権。

2006年以前に消費者金融等から借入をしていた方に対し、現在の法定利息の差額分を返還できるということでテレビCMなどでご覧になった方も多くいるのではないでしょうか?

このような過払い金に対し、返還請求ができる不当利得返還請求権なんですが、内容が難しくてよくわからないと思っている方も居るかと思います。

そこで今回は、不当利得返還請求についてまとめてみました。

不当利得返還請求って?

そもそも、不当利得返還請求とはどういった制度の事なのでしょうか?これについて調べてみたところ、民法703条に以下のような記述がありました。

民法703条

「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」

とされていて、つまり法律上の正当な理由がないにもかかわらず、債務者が借入額以上の金額を返済し、それによって貸金業者側が利益を得ていた場合、債務者の損失額を限度として貸金業者側に利得返還を請求できますよ、ということなんです。

ただ、この不当利得返還請求をおこなう場合に条件がいくつかあり、以下4つの要件を満たす必要があります。

不当利得返還請求の成立条件

  • 損失者に損失が生じたこと(債務者に損失がある)
  • 利得者が利益を得たこと(貸金業者が利益を出した)
  • 利得と損失との間に因果関係があること(債務者の損失と貸金業者の利益に関係性がある)
  • 利得に法律上の原因がないこと(法定金利内での利益であること)

以上の4つを満たすことによって、債務者は貸金業者に対し不当利得を返還するように請求する権利を取得することになります。

ただし、これは貸金業登録された正規の貸金業者に適応される制度であり、闇金のような違法貸金業者には、そもそも貸金業を営むこと自体が貸金業法違反となるため全額返済を求める事ができます。

不当利得返還請求の事例

では、実際に不当な利益を出していた闇金業者に対しおこなわれた事例は存在するのでしょうか?

調べてみたところ、平成17年2月に判決された事例が存在したので、以下にまとめてみました。

概要

消費者は平成14年当時、北海道札幌市内の病院に看護師として勤務していたが、複数の金融業者から高利の借り入れを重ねていた。

その返済に窮していた3月頃、電信柱の広告で闇金を知り3月14日に借金の申し込みをした。

闇金業者は消費者に対し2万5000円を貸し付け、その際、返済期限は消費者の給料支給日の25日、返済金額を5万円と定め返済方法は持参払いとし、また、返済予定日の前日には電話で連絡すべきことを要求した。

平成14年3月14日から平成15年1月31日までの間に、15回にわたり合計58万5000円を闇金から借り入れ、この期間中に、10回にわたり合計108万9000円を支払った。

闇金業者は、貸金業法に定める登録貸金業者であったにもかかわらず、所定の契約書面や領収証等の交付をしなかったばかりか、出資法5条所定の利率を大幅に上回る超高金利の金額であったため、消費者は合計108万9000円の金を支払わされ同額の損害を被った。

結果

貸金業法に定めのある登録貸金業者が、出資法5条所定の利率を大幅に上回る年利1200パーセントという超高金利の貸し付けをした事案で、この貸し付けは違法行為の手段に過ぎず、元本相当額を含む弁済額全額の返還を認めた。

この他にも、利息のみならず元本相当額を含めた全額について消費者に返還義務がないことを明らかにした判決としては、平成15年2月13日に東京簡易裁判所で判決された事例や、平成17年1月27日に福岡高等裁判所で判決された事例も存在します。

このように、消費者が被害を被っている場合は、その利息分や元本を含めた全額が返済される事が多くなっているため、心当たりのある方は一度調べてみるのも良いかもしれませんね。

カテゴリー 用語集
作成日時 2017-08-06 21:47:19
更新日時 2017-08-15 15:22:38
支払いが滞納しがちになったり、返済期限が少しでも過ぎてしまった時、容赦の無い取り立てを行なってくる闇金業者。 しかし、このように悪質な取り立てからあなたを守ってくれる「取立行為の規制」という法律が存在するんです。ですが、あまり聞き慣れない為か、その詳しい内容がどのようになっているかわからない、という方も多く存在します。 そこで今回は、貸金業法で定められた取立行為の規制についてまと…
その利便性から誰もが利用している反面、闇金業者の犯罪の温床として使われている携帯電話。 様々な種類が存在する闇金業者ですが、そのほとんどが携帯電話を使って勧誘をし、債務者とコンタクトを取っているんです。 これだけ携帯電話を使っていると、毎月の請求額も相当な金額になりそうなものですが…、闇金業者は「飛ばし」と言われる手口を使い自分達には携帯電話の請求が来ないようにしているんです。 …
今から約1300年前の、和銅元年(西暦708年)から存在したと言われている闇金業者。 もちろん、今と違って「闇金」とは呼ばれておらず、時代の流れとともに様々な呼ばれ方をしてきました。 そんな中、室町時代に「土倉」や「酒屋」と呼ばれる歴史上においても有名な高利貸し業が存在したんです。 ですが、同じ高利貸し業なのに呼び方が違うのはなぜ?と思う方は、きっと多くいますよね。 …
不特定多数の人に対して、数万円から数十万円の貸し付けをおこなう闇金業者。 その人数も、多い時には数百人から数千人に対して貸し付けをする事があるらしいのですが、闇金業者は一体どこからその資金を調達しているんでしょうか? そこには、金主と呼ばれる大元が存在しているのですが…金主って何?と思っている方は多いのではないでしょうか。 そこで今回は、闇金業者の大元である金主についてまと…
闇金や振り込め詐欺など、犯罪グループの手足となって働かされている受け子。 この受け子は手軽かつ、簡単に高額の報酬をもらえる事から、アルバイト感覚でやっている人が多くなっているんです。 しかし、この受け子という行為は立派な犯罪行為となるため、もしも警察に見つかると逮捕される事になるんですが…、受け子の意味をいまいち理解していないため罪を犯しているという感覚が薄い人も多くいるかとおも…
債務が遅れると発生する遅延損害金。 遅延利息や延滞利息とも呼ばれるこの遅延損害金ですが、一体どのようにして決められているのでしょうか? そこで今回は、遅延損害金の規定についてまとめてみました。 遅延損害金とは 遅延損害金とは、決められた支払日までに返済をしなかった場合に発生する損害賠償金のことです。 金銭貸借契約を結ぶ際の契約項目には必ず返済期日が定められていま…
法律に順守すること無く、債務者から暴利な金利を搾取し続ける闇金業者。 闇金は、国から許可を貰っていないにも関わらず貸金業を営んでいるという特徴がありますが、その中でも登録型の闇金と、無登録型の闇金の二つに分けることが出来るんです。 ですが、この二つの違いがよくわからないという方も多く存在するのではないでしょうか? そこで今回は、登録型闇金と無登録型闇金の違いについてまとめて…
闇金業界で使われる専門用語「キリトリ」。 キリトリと聞けば「キリトリ線」など連想させますが、闇金の用語として使用されているキリトリという言葉の意味は何なのでしょうか? そこで今回はこの「キリトリ」についてまとめてみました。 キリトリとは? 闇金用語の「キリトリ」とは、闇金業者がおこなう人権を無視した借金の取り立てのことで、債権回収業務になります。 また、取り立て…
闇金融の意味や定義 闇金融とは、ヤミ金融、ヤミ金、闇金などとも書かれ、国や都道府県に貸金業としての登録を行っていない貸金業者のことを言います。 また、貸金業の登録をしていながら出資法に違反する業者、高金利を取る業者なども、闇金融と言います。 また、こういった闇金業者から融資を受けることを闇金融資と言います。 一般的に、貸金業を営む場合は、国や都道府県に貸金業としての登…
無登録で高い金利、違法な取り立て・嫌がらせといった法律など一切無しの貸金業闇金。 そんな闇金は顧客をつけるため、ダイレクトメールなどを利用して勧誘をおこないます。 その際、個人情報などの情報は一体どこで入手しているのでしょうか? 実は闇金に情報を売買・提供する名簿屋という業者が存在します。 そこで今回は、この名簿屋についてまとめていきます。 名簿屋とは? …

地域別